介護に疲れた辛い日々と、親を老人ホームに入れる罪悪感
自分の親について老人ホームのことを考え始めると、周囲からこんな言葉が聞こえてくる気がします・・・。
「老人ホームに入れるなんて親不孝だ」
「自分の生活を犠牲にしてでも、親を自宅で介護すべき」
でも本当にそうなのでしょうか?自分の親を有料老人ホームに入れるのは親不孝なのでしょうか?
親の在宅介護に疲れ果て、毎日辛くて辛くて、でも誰に相談できず、一人で悩む日々。親の介護がきっかけで、うつ病になってしまい、介護する側が「死にたい」と思ってしまう・・。
仕事を退職して介護してるのに、夫婦間や兄弟の関係も悪くなって、有効な対策もなく、ただ「介護に疲れた・・」と、ため息ばかり。
そんな状況を我慢することが、本当に親孝行なのでしょうか?
私の祖母の場合

私には祖母がいました。
祖父が残した広い自宅に、叔父さん家族と暮らしていましたが、要介護3の状態になってしまい、介護付き有料老人ホームに入居したのです。
専業主婦だった叔母さんがずっと自宅で介護していたのですが、介護に家族が疲れ果ててしまい、叔父さんと伯母さん、そして同居していない他の兄弟と相談の上、祖母は有料老人ホームに入ることになりました。
叔父さんと叔母さんは、祖母を老人ホームに入れる前にとても悩んだと言っていました。
「親の介護は子供の務めだ」「老人ホームにおばあちゃんを入れるなんて、そんな親不孝はできない」。叔父さんがそう言っていたのを思い出します。
在宅で介護していた頃

でも在宅で介護していた頃、実際に介護していた叔母さんは本当に大変そうでした。
下の子がまだ高校生だったので、進学の悩みも重なり、祖母の日々の介護が精神的にも身体的にもかなりきつそうでした。
当時のおばさんは、娘の塾の送り迎えや食事の買い物の最中も、祖母のことが気になって落ち着かないと言っていました。
家に戻ると、祖母の介護につききり。
掃除機をかけ、洗い物をし、子供の食事の準備するだけでも時間が足りないのですが、そこに祖母の介護の負担が重なりましたから、本当に叔母さんは大変そうでした。
平日も土日もずっと叔母さんは、一日中、家事と介護に走り回っていました。ほとんど休憩もとらず、祖母のため、子供のために尽くしていたのです。
また高齢者の介護はかなり力仕事ですが、当時50歳を超えていたおばさんが、介護で腰を痛めたのも一度や二度ではありませんでした。痛めた腰を我慢しながら、祖母の世話を続けていたそうです。
おばあちゃんに満足してもらえるのか・・

叔母さんはよく、「おばあちゃんに満足してもらえているかどうか、心配だ」と言っていました。
叔母さんは、祖母に少しでも快適に暮らしてもらいたいと一生懸命努力しているものの、疲れていると、つい気配りが足りなくなったり、忘れものをしたりすることもあったそうです。
あるいは娘の進路相談等、どうしても外せない用事があって、祖母を残して長時間外出する必要がある時は、祖母を寂しがらせて申し訳ない、そんな風に思っていたそうです。
身体は疲れていて、家族の世話を含めて、やらなければいけない事はたくさんあります。でも時間がなく、充分に祖母の世話をしてあげられない事について自分を責めてしまう。
そんな風に考えて、精神的に辛い日々が続いていたのでした。
実は我慢していた祖母

その後、紆余曲折あって、祖母は有料老人ホームに入居することになりました。
叔父さんも叔母さんも申し訳ない気持ちで一杯だったようですが、でも私が老人ホームに会いに行った時に、祖母はこんな風に言っていました。
「子供(叔父さんや叔母さん)に迷惑をかけなくて済むから、気が楽になった」と。
叔父さん夫婦は、祖母の世話を決して迷惑だとは思ってなかったので、この言葉はとても意外でした。
でも詳しく聞くと、祖母も実は叔父さん夫婦にとても気を使っていたとのこと。
たとえば何かやって欲しいことがあったとしても、なるべく我慢して、お願いは最小限にしていたそうです。叔母さんが用事している時とか、娘と談笑している時とかは、邪魔しないようにしていたそうですし、トイレについても、本当に我慢できなくなるまでお願いしなかったとのこと。
祖母はそんな風に、叔父さん達と暮らしていた時は少しでもみなに負担をかけないように、一生懸命気を使って暮らしていたのです。
老人ホームなら気を使わずにすむ

でも老人ホームに入ると、スタッフの人は仕事としてお世話してくれる訳ですから、そういう気の使い方をしなくてもよくなりました。
スタッフの方は給料を頂いてプロとして祖母のお世話をしてくれるので、祖母も気兼ねなく、素直にお世話を頼めるので、本当に気が楽になったそうです。
家族がもめなくなる

それから、自宅にいた時に一番辛かったのが、自分のせいで叔父さんと叔母さんが揉めることだと言っていました。
叔母さんは、祖母の前では疲れた顔をほとんど見せなかったそうですが、叔父さんや娘達の前ではそうも言っていられず、どうしても家事がおろそかになったり、言葉がきつくなることが時々あったとのこと。
それがきっかけで夫婦喧嘩になったり、娘と親子喧嘩になったりすることも少なくなかったようで、その様子が伝わってくる度に、祖母は「私が迷惑かけてるから、あの子達がけんかしてる」と心を痛めていたそうです。
祖母がまだ自宅にいた頃に、たまに帰省すると祖母は「生きてたって、なあんも良いことなんかあらへん。人様に迷惑ばっかりかけて、早うあの世に行きたいわ」と、孫である私に冗談とも本音とも分からない口調で話していました。
おそらく自分のせいで息子の家族がギスギスするのが、とても辛かったんだろうと思います。
祖母の笑顔が増えました

そんな祖母が、有料老人ホームに入った後は、「人様に迷惑ばっかりかけて」という言葉が出なくなりました。
家族に変に気兼ねすることもなくなり、必要なサポートを常に受けることができ、そして家族に迷惑をかけている、という負い目を感じなくてすむ。
自宅にいた頃よりも、老人ホームに入った後の方が、笑顔がずいぶん増えたのですが、きっと気持ちが楽になったんだと思うのです。
その後、5年ほどして、祖母は天国に召されました。
叔父さん夫婦としては、「自宅で最後まで介護してあげたかった」という気持ちがあったことでしょう。
でも祖母は、老人ホームに入ることで子供達への迷惑を最小限にすることができて、幸せな気持ちで眠りにつけたんだろうと思います。
親の介護に疲れ果てて、家族が疲弊しバラバラになる。そんな最悪の事態を防げて、きっと祖母は安心しているに違いありません。
だから叔父さん夫婦は、老人ホームに祖母を入れてあげることで、素晴らしい親孝行ができたんだと思うのです。
なお、「介護付き有料老人ホームの選び方」ページをご用意しておりますので、あわせてご参照ください
高齢者のアンケート
ここまで私の思い出話にお付き合い頂いたわけですが、こんな風に感じている高齢者の方は決して少なくありません。
第一生命が高齢者を対象に行ったアンケートを発表していますので、ご紹介してみましょう。
体が不自由になった時の問題点
発表されたアンケートによると、高齢者が寝たきりや体が不自由になった時の問題点としてあげているのは、「家族や周りの人に負担や迷惑をかけること」。
介護が必要になった時に高齢者が一番嫌なのが、「家族に迷惑ををかけること」だということが、この調査から見て取れます。

誰に介護されるのが嫌か?
さらに「誰に介護されると抵抗感があるか」という質問に対しては、最も抵抗を感じるのは「娘や息子の配偶者」。娘の配偶者には86.8%、息子の配偶者には84.5%もの高齢者が、「抵抗がある」と回答しています。
また男性の場合「配偶者」に介護してもらうことへの抵抗感は22%しかないのですが、女性の場合はこれが46%と、半数近くの人がご主人に介護してもらうことに抵抗感あるとのこと。

どこで介護を受けたいか?
また「どこで介護を受けたいか?」という質問に対しては、「老人ホーム」と回答した人が、男性で4に1人(23.1%)、女性で5人に2人(39.1%)もいます。
男性の場合は恐らく奥さんに介護してもらいたいという人が多いのでしょうが、女性の場合はむしろ自宅でお嫁さんやご主人に介護してもらうよりは、老人ホームに入りたいという方が多いということなんだと思います。

親孝行と老人ホーム
色々とお話ししてきましたが、「本当は介護が必要になった親を、自宅で介護してあげたい」と、多くの方がお考えのことと思います。
でも、本当にそれが親御さんにとって幸せなのか、あらためて考えてみた方が良いかもしれません。
お互いに気を使い、精神的にも、肉体的にも大変な苦労を続けることが、本当に親御さんの望むことなのか?
親の介護に疲れ果てて、子供を大変な状況に強いることを、親御さまは本当に望んでいるのか?
親御さんが一番望んでいるのは、子供たち家族が幸せ暮らすことですし、逆に親御さんにとって一番つらいのは、自分が子供家族の邪魔になっていると感じること。
そんな風に考えると、老人ホームに親を入れることは決して「親不孝」ではないと思います。
私の祖母のことを思い出しても、介護が必要な親を老人ホームに入れてあげることが、一番望んで「親孝行」なのではないか、そんな風に私は思うのです・・・。
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監修:介護福祉士/金子 淳一郎
介護業界20年の実績。
デイサービスを運営している株式会社S-FIT ケアにて、3つのデイサービス施設を統括。
つねに介護に接している視点から、「ひとりでも多くの人に、ベストな老人ホームを選んでほしい」という思いから介護施設の研究、紹介支援活動を行う。

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